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緑内障から生涯の QOLを守る

福地 健郎

新潟大学大学院医歯学総合研究科 視覚病態学分野 教授

 緑内障は眼圧がその他の様々な因子と複合して視神経を障害し、視野が欠損する疾患です。2000年~2001年にかけて日本緑内障学会が岐阜県多治見市で行った緑内障に関する大規模疫学調査「多治見スタディ」の結果から、緑内障の有病率は5.0%と報告されました。この有病率は現在の人口構成で再計算すると6.7%にものぼると考えられています。緑内障は年齢とともに増加し、この有病率は70歳台では10%を超え、日本人は高齢になった時に10人にひとり以上が緑内障になると考えることが必要です。 緑内障は失明する危険性のある疾患です。また、緑内障による視神経の障害は非可逆的で、一度、欠損した視野は元には戻りません。早期に発見し、適切に治療・管理することが、生涯にわたって十分な眼の機能と生活の質(QOL)を守るためには重要です。緑内障による視野障害の進行によって QOLは低下します。日常では両眼で生活しており、また疾患そのものがゆっくりと進行していくので、自覚症状はわかりにくい。視野感度と自覚症状の関連を調べると、視野障害が著しく進行した状態になるまで症状を自覚しないことが多いようです。しかし、最近の研究では、自覚症状を感じる以前から、運転や読書などの能力が低下していることが明らかとなってきており、治療・管理についてもう一度、考え直さなければいけない時期になってきているのかもしれません。 緑内障には様々な病型があります。病型によって経過や治療・管理方法は大きく異なります。このうち約80%を占めるのが原発開放隅角緑内障・正常眼圧緑内障で、このタイプは一般に緩やかに長い時間をかけて進行します。早期発見のためには検診やドックなどで眼圧検査や眼底検査が必要です。一般にこのタイプの緑内障だけで完全な失明に至ることは比較的まれで、早期の段階で発見された場合には生涯を自覚症状なく過ごすことができる可能性もあります。まずは「主治医と一緒に、生涯、緑内障とつきあっていこうという心掛けが大切」だと思います。

                (プログラム抄録集より)

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