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2019年9月26日 (木)

2019年連携総合ゼミ報告その1~対話によって自分の壁を打ち破る

本学では、4年生を対象に連携総合ゼミが行われています。

以前の記事でもお伝えしたとおり、連携総合ゼミでは、さまざまな学科、他大学、海外大学の学生と教員が集まり、模擬患者やビデオ患者、実際の事例などを対象に、ともに評価し、多職種による治療や支援策を企画・立案していきます。

今年度は、本学科の教員が全3事例のゼミに参加しました。この記事では、伊藤ゼミの活動について、伊藤先生に振り返って頂きました。


「専門性」とはやっかいなものです。専門性は確かに武器になります。対象者の生活を支える糧になり、自分の生活を支える糧になります。しかし、専門性はときとして大きな壁を作り出してしまいます。目の前の複雑な出来事に対して自分の専門性だけで判断して、それで満足してしまうという心の壁です。私も例外ではありません。

しかし、これからの医療福祉を支えようとする若々しい学生たちは、どこまでも実直で、どこまでも柔軟な心を持ち合わせているはずです。自らの専門性を不断に高めつつも、それだけに囚われない真のプロフェッショナルになっていく――その手助けならば私たちにもできるのではないか。それが、今回のゼミの背景にある思いでした。

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とはいえ私の力には限界があります。そこで登場頂いたのが、脳性小児麻痺の当事者である斎藤直希さんです。斎藤さんは、脳性麻痺により四肢不自由の全介助状態になりながらも、自らの壁を作ることを止めて、普通高校に進学し、大学在学中に行政書士の資格を取得するなど、いくつもの壁を打ち壊してきた方です。斎藤さんと対話を重ねることだけでも、学生にとって大きな学びになるのは間違いありませんでした。

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今回の事例は、斎藤さんがかつて経験された右上腕骨頚部複雑骨折による入院から自宅生活への復帰を支援するというものであり、斎藤さんには模擬患者役を務めて頂きました。さらに、今回の事例は、それまで斎藤さんの介助を一手に担っていた母親が同時期に脳梗塞になるとともに、(実際には時期がずれていますが)家族介助が一切見込めなくなるという要素を加え、多職種の連携を不可欠なものとしました

こうして、さまざまな学科、さらには、他の大学からも学生が集い、ビデオ通話を介した斎藤さんとの対話が始まりました。当初は、あくまでそれぞれの専門性から、斎藤さんの心身の状態を確認し、斎藤さんの「希望」を聞き取っていました。そして、それぞれに支援のあり方を考えていました。それだけであれば、2日で終わる内容です。

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しかし、ここからが連携総合ゼミの醍醐味です。自らの支援策を他職種と共有しようとすると、他の職種から別の視点による突っ込みがさまざまに入ってくるのです。そうして、私たちのゼミの場合は、それぞれが「斎藤さんにもっと聞くべきことがあった」と気づき、斎藤さんとの対話が繰り返されていくことになりました。

こうして、斎藤さんの24時間の生活を支える充実した支援策ができあがりました。しかし、新たな疑問が立ち上がります――「これは本当に実現可能なプランなのか?」 そこで、「全員がケアマネになる」とのかけ声のもと、図書館での法制度の学習が始まりました。学生たちは、やがて、障害者総合支援法にたどりつき、利用可能なサービスを調べ上げるとともに、経済面の事情も踏まえたプランと発表スライドを作り上げました。

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学生が最も実直かつ柔軟であったのはここからです(私も大いに学びました!)。いかにして、学生は自分の壁を打ち破ったのか。……ここから先は、大学広報誌『QOLサポーター新潟』51号の「連携総合ゼミ開催報告」で記すことにしたいと思います(12月刊行予定、昨年は柴山ゼミでした)。

いずれにしても、今回のゼミをうまく終えることができたのは、本学に多職種連携の教育文化が深く根付いているからに他なりません。さらに、今回のゼミは、学科の同僚である高野先生にも加わっていただき、連携教育の責任者である看護学科の松井由美子学科長にも折に触れてアドバイスを頂きました。

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ここでは、広報誌に載せきれない学生の声を紹介します(後輩に向けてのメッセージも!))。

「実際に斎藤さんという対象者がいたことで、とても有意義なゼミを履修することができたと感じています。ケアプランを考える中で自分には関係のないと感じる分野も出てくると思いますが、力を合わせて調べることでたくさんの発見があり、とても楽しかったです。来年もみんなで連携していいプランを立てて欲しいです!」

「想像していたよりリアルなチームアプローチができ、本当に勉強になったと感じます。対象者の方と直接関わらせていただいたことで、実践に近いチームとしての関わりができて将来に生かすことのできる貴重な経験になったと感じます。

また、理学療法士としての知識を生かすだけでなく、福祉サービスの制度についてや他の専門職についてなど知識の無かった分野についても学びを深めることができ、勉強になりました。

連携総合ゼミを通して対象者の方と関わる際には、理学療法所見や動作の方法、その方の希望などだけでなく、その方の考え方や価値観、人間性を知ることも必要であるという、専門職として大切なことに気づくことができました。

ぜひ、連携総合ゼミの活動を通して、広い視野を持った学びを深めてほしいです!!」

「ゼミを終えた今は、達成感と充実感、寂しさがあります。私の中では1週間とは思えない程、メンバーと仲良くなれたと思いますし、全員がとても協力的に活動し、妥協せずに満足できるものができたと思っております。だからこそ、ゼミが終わってしまった今は少し寂しく思います。履修前は、まさかこのように終われるとは思っていなかったため、とても驚いています。

ゼミに参加し、班のメンバー、伊藤先生、高野先生、斎藤さんと関われたことを本当に心から嬉しく思い、感謝しています。」

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「実際に対象者がいる症例なので大変な部分はありますが、その分、対象者に寄り添ったケアプランを考える事ができたのではないかと思っています。また臨床に出る前に他職種との連携を考える事ができるとても貴重な機会だと思います。連携の中で看護師としての役割は何かを考えられたら大きな学びになるのではないかと考えています。1週間頑張ってください。」

「メンバーに恵まれ、とても有意義な経験になりました。あっという間の一週間でしたが、ここで得たことは一生ものの財産になると思います。実は、今回の事例の希望順位は低かったです。将来に関わるかもしれない事例を基準に順番を付けたからです。しかし、多職種連携という滅多にできない経験をし、結果的に本事例にとても詳しくなりました。今しかできないことなので、事例の興味関係なく、メンバーと協力することが大切だと思います。そうすれば絶対将来に、専門職として役立つと思います。」

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