6月の研究セミナー1 ~修士課程2年 中野沙紀さん~

 6月の研究セミナーでは、博士課程2年の山﨑雄大君と修士課程2年の中野沙紀さんが発表を行いました。

 

今回、修士課程2年の中野沙紀さんの発表内容を以下に記載します。

 

 

 

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【タイトル】

空間記憶トレーニングにおける有酸素性運動プレコンディショニング効果について

 

【目的・方法】

世界的に認知症患者が増えている中で、認知トレーニングが認知機能を高めるか否かについて、一致した見解が得られていない。そこで、認知トレーニングのプレコンディショニングとして、空間記憶機能改善と関連するα、β帯域の活動を高めるとされる中等度有酸素性運動が有用であると考えた。リカンベントエルゴメーターを用いた運動が、α、β帯域の活動を増大させ、空間記憶トレーニングのプレコンディショニングとして有用となるかを明らかにすることを目的とした。実験1では、健常成人15名を対象に運動条件と安静条件の2試技を実施し、介入前および介入3、10、15、30分後に脳波の計測を行った。実験2では、健常成人30名を運動群、安静群各15名とし、介入後に約2分間の空間記憶課題10セットをトレーニングとして行い、トレーニング15、30、45、60分後、1日後に再度同課題を行った。実験1,2共に運動は50%Vo2peakで20分間のペダリング運動とした。

 

【結果・考察】

実験1では、運動後10分まで、α、β活動の増大が認められた。実験2では、運動群においてトレーニング効果の促進が認められた。トレーニング効果の促進が見られた要因としては、α、β帯域の活動が関与していると考えられる。α、β帯域の活動は、それぞれ課題における記憶保持中の不必要な入力の抑制を反映しているということや、空間的な位置情報を保持するための神経活動を反映するとされている。運動によって、これらの機能を高めた状態で認知トレーニングを行ったことでトレーニング効果の促進が見られたと考えられる。

 

【結論】

20分間の中等度有酸素性運動が認知トレーニングの効果を促進し、有酸素性運動は空間記憶トレーニングにおけるプレコンディショニングとして有効である可能性が示唆された。

 

 

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中野沙紀さん

 

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中野さんの研究では、空間記憶、有酸素運動、脳活動の三つがポイントなります。

 

認知症が発症すると、空間のどこに物があるのかといったことが明確でなくなったりします。

たとえば段差でつまずくのは、段差のある空間のなかで、その段差がどの程度の高さなのかを脳がうまく把握することができないため、「これくらい足をあげればいいだろう」と間違った判断を起こすためにつまずくと考えられます。

 

中野さんは、このような空間内のどこに物があるのかといった認知機能を改善、向上させるためには有酸素運動が有効だろうという仮説を立て、その仮説を実証するため2つの実験を行いました。

そして実験の結果、有酸素運動が認知トレーニングに有効であることが示唆されました。

 

このような研究を進めることによって、認知症の予防ならびに改善には有酸素運動の有効性が示されます。

 

 

 

高齢化社会を迎えたわが国において、このような研究はとても重要です。

 

大学の4年間だけではなく、大学院に進み専門性をより深めることも、専門職に就く上ではとても有効です。

 

 

「学ぶ意欲が旺盛な学生」は、ぜひ大学院への進学も視野にいれて大学生活を送ってみてください!!

 

 

新潟医療福祉大学 修士課程 健康科学専攻 健康スポーツ学分野

https://www.nuhw.ac.jp/grad/field/master/hs.html