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2019年2月25日 (月)

「新潟医療福祉大学だからこそ得られた経験」 ~4年生 太田伶君~

 

皆さんこんにちは。

健康スポーツ学科4年、佐近研究室の太田伶です。

 

今回は私がこの大学で行っているユニファイドサッカーで学んだことを紹介します。

 

スポーツ推薦で私は新潟医療福祉大学に入り、プロの選手になるために強化部でサッカーをしてきました。

しかし、大きな挫折を味わいその道が途絶えました。

その時に出会ったのがユニファイドサッカーでした。

 

「ユニファイドサッカーとは知的障がいのある選手(アスリート)と障害のない選手(パートナー)が同じチームで競技を行うことで、サッカーやスポーツを通じてお互いの個性を理解しあう関係を築く取り組みで、スペシャルオリンピックス日本が、障がいの有無に関わらず誰もがスポーツを楽しむ環境が当たり前となるよう、このようなユニファイドスポーツの普及を促進しているものです。

 

 

1

 

 

スペシャルオリンピックス日本 2017年第2回全国ユニファイドサッカー大会

優勝

 

スペシャルオリンピックス日本 2018年第3回全国ユニファイドサッカー大会

4位

 

2018年第1回スペシャルオリンピックス日本・福井ユニファイドサッカー競技会

優勝

 

 

最初は知的障害がどのような障害で、どこに障害と言われる部分があるのかわかりませんでした。

しかし、ユニファイドサッカーに関わって二年が経った今、障害を理解し、個性を認め合うことがでるようになりました。

 

まず、私は障害者の症状や、気持ちがわからなくても、理解しようと思いました。

わからないからといって、壁をつくるのではなく、理解しようと歩みよるのです。

障害に関する資格を取得したり、彼らとLINEをしたり、一緒に飲みや、ご飯に行ったり、バイト先に遊びに行ったり…

このように、練習以外でも日常的に障害者と同じ時間を過ごし、理解していきました。

 

アスリートは私たちよりもはるかに勝利へのこだわりが強く、負けるととことん悔しがります。

1つ1つのプレーに対する執着心、チャレンジ精神は、はるかに私より優れていると感じます。

それは、健常者と言われる人の世界には沢山の当たり前が存在しているからだと思います。できて当然、感じて当然、理解して当然と知らず知らずのうちに当たり前と錯覚してしまっているのです。

 

しかし障害者は何かができないことの辛さや寂しさ、また、できるようになったことの喜びや楽しさを、当たり前ではなく心の底から感じとっていると思います。

当たり前と錯覚するのではなく、大きな幸せと捉えることができているのだと感じます。

だから彼らと味わう勝利は普段とは異なる最大の喜びとなり、敗北は重く心に残っています。

 

このように私はアスリートととしてプレーし、日常生活も共にすることで彼らの個性の素晴らしさを知ることができました。

 

 

 

2

 

 

もし、私が大学4年間を順調にサッカーだけをして過ごしていたら、この考え方、感じ方はできなかったと思います。

挫折を経験し、ユニファイドサッカーと出会い、自分の知らない世界を学ぶという、貴重な経験ができたからです。

同じ出来事でも、自分本位ではなく、客観的に、多角的に捉えることで、それに対する解釈が変わります。

解釈が変わると結果も変わります。

 

だからこそ、皆さんには大学で色んな人の考え方、見方、価値観に触れてほしいと思います。それだけで大学に通う意味があるとさえ、私は思います。

ご存知の通り、大学には色んな人がいます。

障害の有無に関わらず、人はそれぞれ違う経験をして人生を生きているため、考え方や、見方、価値観は違います。

その違いを尊重し、相手の長所に学びながら共に成長していくものだと私は思います。

 

是非、自分の持っている考え方、見方、価値観がひっくり返るような経験をしてほしいと思います。

 

私は、これからもユニファイドスポーツを広めていきたいと思い、また、幸運なことにユニファイドの世界を知り、関わることができた人間として広めていくべきであり、その責任があると思っています。

目標を4年後の世界大会に出場することと掲げ、これからもこの活動に参加していきたいと思います。

 

 

3

 

 

― ― ― ― ― ― ― ―

 

新潟医療福祉大学では、優れたQOLサポーターを育成しています。

だから、健康スポーツ学科の学生は競技スポーツだけを実践しているわけではありません。

太田君のように、障がい者スポーツを実践する学生もいます。

 

世間では、健康な人(健常者)だけが暮らしているわけではありません。

本人の意志にかかわらず障がいを患ってしまった人や生まれながらに障がいと共に生きていく人がいます。

そのような人たちと時間を共にすることは、なかなか経験することがないでしょう。

ただ、健康スポーツ学科ではスポーツを通して障がい者と時間を共にすることができます。

これは、かけがえのない経験となるのではないでしょうか。

つまり、スポーツを通して、障がい者と時間を共にし、彼らの個性を理解することで人間としての幅や深みができるのではないでしょうか。

 

障がい者も健常者も、同じ「人間」なのだから、共生できる社会をつくりあげていくことがとても大切でしょう。

 

新潟医療福祉大学では、全学生が1年生の時に「スポーツ・健康」という科目を履修し、そこでは車椅子バスケットボールを実践することになります。

また、健康スポーツ学科の学生には、太田君のように、自ら進んで障がい者スポーツにかかわる学生もいます。

 

このような地道な活動が、共生社会の実現につながるよう、学科の教員も努めていきたいと思います。

 

 

 

 

健康スポーツ学科

https://www.nuhw.ac.jp/faculty/health/hs/

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