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2020年6月26日

2020年6月26日 (金)

レビー小体型認知症を患者さんの視点から知る ー本の紹介『誤作動する脳』

こんにちは。STkouhouです。

 

本学科の動向をお伝えしている本ブログですが、

今回は趣向を変えて、本の紹介をします。

 

紹介する本は、樋口直美著『誤作動する脳』(医学書院)

レビー小体型認知症の症状を、患者さんの視点から詳細に描いています。

 

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レビー小体型認知症とは認知症疾患の一つで、

幻視や認知機能の変動、パーキンソン症候を特徴とします。

 

本学科の学生が目指す言語聴覚士は、

臨床の現場でレビー小体型認知症の方の評価や支援に携わる場合があります。

 

レビー小体型認知症の症状は、たくさんの本や論文に記載されていますので、

容易に調べることができます。

しかしその多くは、医療者側の視点で記載されているため、

患者さんが実際に症状を呈している最中、どのように感じているのか?

という点はつかみにくいものです。

 

この本は患者さんの視点から、

症状を呈している時に実際にどのような感じ方をしているか、

詳しく、時に生々しいほどに描写されています。

著者の樋口氏は、幻視を見てしまう状況を「脳が誤作動した」と表現しています。

樋口氏の文章では、確かに細部までみえるようなくっきりとした幻視を見ても、

それがずっと持続するわけでなく、ふっと消えてしまうと語っています。

まさに誤作動と表現するのがふさわしい現象です。

 

言語聴覚士が関わる場面では、患者さんの認知機能を評価することがあります。

認知機能を評価する場合は、こちらの指示通りに字や絵を書いてもらったり、

いくつかの言葉をおぼえてもらったりと、

見方によっては患者さんを試すようなことを要求します。

そのため評価を行う前には、患者さんの信頼を十分得ていることが必要になります。

 

患者さんの信頼を得るためには、

まずは患者さんの気持ちによりそうことが求められます。

この本は、患者さんの心情を理解するのに、非常に参考になる一冊です。

 

樋口氏は、以前にもご自身の疾患について本を出されてます。

『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』(ブックマン社)

こちらは日記形式で、ご自身の症状について語られています。

2冊合わせてお読みいただくと、この疾患への理解がより深まると思います。

 

本学科には、レビー小体型認知症に関する研究を行っている教員が複数在籍します。

 

今村徹教授 

今村先生の紹介はこちら

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大石如香准教授

大石先生の紹介はこちら

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内山信講師

内山先生の紹介はこちら

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レビー小体型認知症に関心のある方はぜひ、

ぜひ本学への進学をご検討ください!!

 

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本学の新しいサイト『研究力』をご紹介します その1

こんにちは。STkouhouです。

 

この度、本学の新しいサイト『研究力』がオープンしました。

研究力のサイトはこちら 

 

このサイトでは、本学の研究活動や研究成果の情報を発信します。

教員や大学院生の研究成果の発表が主ですが、時には学部生の研究成果が記事になることもあります!

 

最近このサイトに、本学科から2つの記事が加わりましたので、2回のブログ記事に渡ってご紹介します。

 

今回は1つ目、伊藤さゆり助教の研究です。

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伊藤先生の紹介はこちら

研究力サイト中の伊藤先生の記事はこちら 

 

伊藤先生は今回の研究で、認知症疾患の一つであるアルツハイマー病の患者さんに対して広く用い

られている検査である、ADAS-Jcogについて検討しています。

伊藤先生からのコメントです。

 


 

アルツハイマー病になると、記憶力の低下だけでなく、注意力の障害や、視覚面の障害など、

様々な認知機能障害を呈します。

その結果、一つの目的に向かって複数の物品を操作できなくなる行為の症状を呈することがありま

す。

一つの目的に向かって複数の物品を操作するとは、

具体的には急須や茶筒、湯飲みなどを用いてお茶を入れる、

マッチや燭台を用いてろうそくに火をつける、といった場合を指します。

 

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ADAS-Jcogにも、手紙を使って行為の症状をみる検査項目が含まれています。

しかしどのような認知機能障害が影響して行為の症状が生じたかは、

検査の点数に反映されない内容となっていました。

そこで今回、行為の症状をみる検査項目に対し、どのような誤り方をしたのかという観点から、

質的に評価しました。

 

その結果、認知症になる前の段階の方と、アルツハイマー病と診断された人との間で、

誤り方に質的な違いがあることがわかりました。

認知症になる前の段階の人では、主に注意の障害によって複数の物品の操作が難しくなっていたの

です。その場合患者さんは、途中で行為の目的(手紙を作る)を忘れてしまっていました。

 

一方で、アルツハイマー病になると、注意の障害だけでなく、失行や視空間認知障害など多彩な認

知機能障害が影響して、物品の操作が難しくなっていることが明らかになりました。

その場合患者さんは、手紙を作る手順を間違えたり、切手を適切な場所に貼れなくなったりして

いました。

また、アルツハイマー病の人の中でも、軽度の人と中等度の人との間で、誤り方に質的な違いがあ

ることがわかりました。

 

今回の研究をまとめた論文は、2019年に日本神経学会の公式英文誌Neurology and Clinical

Neuroscienceに掲載していただきました。

おかげさまでこの論文は、オンライン掲載から12カ月の間に最も多くダウンロードされた論文の

1つとして、投稿先のTOP DOWNLOADED PAPER 2018-2019となりました。

 

ADAS-Jcogは広く使用されていますが、検査の点数だけで患者さんの状態を評価するのは難しい

と感じていました。

今回の論文が多くダウンロードしていただけたのは、同じように患者さんの評価に悩む臨床家の方

が多かったためではないかと思います。

これからも多くの臨床家の方々に有益となる研究をしていきたいと思います。

 


 

伊藤先生、コメントをいただきましてありがとうございました!

認知症というと、いわゆる『もの忘れ』、記憶の障害が有名ですが、

このような行為の障害も含め、多彩な症状を呈するのですね。

認知症の症状を幅広く学びたい方はぜひ、本学科への進学をご検討ください!

 

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