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2020年5月12日 (火)

富澤先生が科研費を獲得されました!!

こんにちは。STkouhouです。

 

以前のブログで、研究費の一つ、科研費(科学研究費補助金)についてご紹介しました。

今回は富澤准教授が科研費を獲得された研究についてご紹介します!!

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―このたびは科研費獲得、おめでとうございます!
今回採択されました研究内容について、教えてください。

 

ありがとうございます。

今回採択された研究テーマは、
「インクルーシブ保育における幼児の包括的な語音聴取評価法の開発」です。

 

―高校生の皆さんには聞きなれない言葉がいくつか入っていますが、
まず、“インクルーシブ保育”とは何ですか?

 

ここで言う“インクルーシブ保育”とは、様々な知覚・認知・行動特性を持つお子さんが、
同じ年齢の集団の中で保育を受けることを指します。

 

―では、“語音聴取”とは何でしょうか?

言葉を表す音を聞き取る能力のことを指します。

 

なんらかの障害を持つお子さんを保育する場合、
従来は障害ごとにお子さんを分けて保育する方法が主流でした。
しかし最近は、様々な障害を持つお子さんを一緒に保育する
“インクルーシブ保育”が広まってきています。

 

このようなお子さんの中には、聴覚障害・知的障害・発達障害など様々な要因によって、
日本語の音声を聞き取ったり、理解したりするのに困難があるお子さんがいます。

 

日本語を正しく聞き取れないお子さんの場合、集団の中にいても、
「先生はみんなに何て言ったのかな?」「次は何をするのかな?」
と戸惑うことが多く、その結果お子さんは集団活動に参加しにくくなりますよね?

 

―なるほど、日本語を正しく聞き取る能力は、お子さんが集団生活に参加する際、
とても重要なのですね。

 

そうなんです。適切な保育を行うためには、お子さんが日本語の音声を聞き取る能力を、
一人一人正しく評価する必要があるのです。
 

しかしながら、言葉を正しく聞き取る能力を評価する方法は、
日本では小学生から使える評価方法しかないのです。

今回の研究では、日本語を正しく聞き取れているか評価する方法を
新たに幼児向けに開発することを目的としています。

 

―今回の研究のタイトルは、“包括的な”、つまり総合的な評価方法の開発、となっていますが、
これはどういう意味なのでしょうか?

 

今回は、上記の日本語の聴き取り能力の評価に加えて、

雑音下で音を聞き取る能力の評価、集団参加・適応状態の評価も加えて、

3つで1セットの評価方法を開発する計画です。

 

近年、保育や教育施設では、施設内での雑音や残響が多いという問題が指摘されています。

そこで今回は、静かな環境での聴力検査ではなく、
お子さんのいる施設の環境に近い雑音を検査用に開発して、
聴力検査で用いることを計画しています。

 

さらに、アンケート形式で、お子さんが抱える、音を聞きとる能力や注意力における問題が、
集団活動の参加にどのように影響を及ぼしているのか評価する方法を開発します。

 

―お子さんにおける日本語の聞こえの評価を、聞こえそのものの評価だけでなく、
雑音下での聴力検査や、アンケートでの評価も含めて、
“包括的”に評価する方法を開発する研究、ということなのですね。

この研究によって、どのような結果が望まれるのでしょうか?

 

包括的な評価方法が開発されることによって、インクルーシブ保育における、
お子さんのことばのきき取りにおける困難さと、困難さが集団活動への参加にどう影響しているかが、構造的に明らかになります。
また、養育者(親御さん)・保育者(保育士さんなど)・専門家(医師、言語聴覚士、心理士など)によって構成されるチームが、適切な支援を行いやすくなることが期待できます。

 

―言語聴覚士は、ことばのきき取り能力に困難さを抱えるお子さんを支援するチームの重要な一員なのですね。

先生はどのようなきっかけでこの研究テーマに興味を持たれたのですか? 

 

幼児期のお子さんにとっては、保育の場は始めて経験する集団参加の場です。
障害のあるなしに関わらず、小児を対象とする言語聴覚士が集団参加に目を向ける必要性は高いと思います。
そのためのツール開発といった研究的工夫が、まだまだ大切と思います。

  

―小児の現場で活躍する言語聴覚士の増加が望まれますね!

最後に高校生に向けて、メッセージをお願いします!!

 

広い視野をもって、勉強しましょう!

 


 

富澤先生、研究内容についてわかりやすくお話しいただき、誠にありがとうございました!

聞こえの障害、特に小児の聞こえの障害に関心のある方は、ぜひ富澤先生のいる当学科への進学をご検討ください!!

 

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