疾病や障害のお話 Feed

2008年10月20日 (月)

認知機能 cognitive function

普段、みなさんが何気なく行っている、「言葉を話す」、「理解する」、「考えて判断する」、「分析する」、「計算する」、「記憶する」といった様々な行為。

これらを可能にしているのは、みなさんの脳が情報を処理する機能をもっているからなんです。

そう。まるでコンピューターのようですね。

でも本当は、最新のコンピューターよりもみなさんの脳のほうが、はるかに高度な情報処理機能をもっているのです。

このような脳の情報処理機能を認知機能といいます。

ところが、脳に障害を受けると、こうした様々な認知機能が低下し、その結果、言語、判断、記憶などの機能が障害されます。

これを「認知機能障害」といいます。

脳のどの部分が障害されるかによって、どんな認知機能障害が起こるかも違ってきます。

また、言葉の障害をもつ方の中にも、認知機能障害によって言語の機能が障害された方もいれば、運動機能の障害によって声や発音などの機能が障害された方もいます。

認知機能障害にはどのようなものがあるか、このブログでも少しずつ紹介したいと思います。

2008年10月17日 (金)

自閉症 autism

みなさんは、人とのかかわり方をいつ学んだのか憶えていますか?

人は成長していく過程で、外界から様々な刺激を与えられます。

これらの繰り返し与えられる刺激を受けとめることによって、ことばや人とのかかわり方などを学習していきます。

しかし、この与えられる刺激の中に耐えることができないほどの不快さを感じるものがあるとしたらどうでしょうか?

自閉症のお子さんは、生まれつき外界の刺激を受け止めることに困難を生じます。そのため、人や物とのかかわり方が変わっていたり、コミュニケーションがうまくとれなかったり、興味や物事への関心に偏りがみられ、同じことを何度も繰り返すといった特徴をもっています。

このような場合、言語聴覚士はその子が不快に感じないよう、個別に応じた適切な環境を整え、その子に合ったコミュニケーション方法を考えるなどして成長を支援します。

2008年10月10日 (金)

QOL Quality of Life

パンフレットなどでも数多く登場する「QOL」

QOLとはQuality of Lifeの略で、直訳すると『生命の質』、『生活の質』となります。

医療現場では長い間、「いかに長く生きるか」が課題となっていました。

しかし、長く生きるだけで人は幸せになれるのでしょうか?

寝たきりの方や、車いす等の手助け必要な方、食事の制限が必要な方などが増加する高齢時代を迎えた近年、人生は「いかに良く生きるのか」が大切な時代だと言われています。

ですが、「満たされた人生」と一言でいっても人間には個性がありますし、置かれている状況も違います。

そんなひとりひとりの「良く生きること」に関わることも言語聴覚士の仕事です。

例えば、ことばが話せない患者さんが「『あいうえお』が言えるようになった」だけでは何の役にも立ちません。

それを活用した周囲とのコミュニケーションで、患者さんが「あぁ、生きてるって楽しいな」と思えるような人生を送る手助けをすることこそが重要なのです。

本学では、患者さんが満たされた人生を送るために援助・協力できる『QOLサポーター』の育成を目指しています。 

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2008年9月12日 (金)

誤嚥  aspiration

物を食べるとき、のどの仕組みにより食物や唾液は食道を経て胃に送られます。ところが、この働きが上手くいかず、飲み込んだものが気管や肺に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥(ごえん)」と言います。誤嚥は肺炎を引き起こし、命に関わることもあります。

この誤嚥を防止するために、食品を飲み込みやすい形態に調整したものが嚥下調整食(嚥下食)です。水分にトロミを付けてむせを減らす『トロミ剤』、ミキサーにかけるだけで即座に何でもゼリー状にする『即席凝固剤』などを使用し、食品を調整します。

上記の調整剤は、薬局やインターネットで入手可能なものも多いようですが、「誤嚥」と一言でいっても様々なタイプがあります。使用する際には一度、近隣の病院にご相談することをお勧めします。

 

なお、本学オープンキャンパスでは株式会社クレスクhttp://www.9039.co.jpより嚥下食の提供を受けています。
 

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写真>>即席凝固剤のひとつ「ミキサーゲル」。
本学科の西尾正輝先生が企業との共同研究により開発。
温かいもの、冷たいもの双方で使用でき、時間をかけずに食品をムースゼリー状にすることができます。

2008年8月18日 (月)

騒音性難聴 nois-induced hearing impairment

大きな音を聞き続けることによっておこる難聴です。

徐々に聞こえが悪くなっていくので、聞こえないことに気づきにくい側面をもっています。
ある日、ないしょ話のような小さな声が聞こえにくいことで気づく障害です。
日頃、ヘッドフォンを使用したり大きな音で音楽を聴いている人は要注意です。

オープンキャンパスでは、純音聴力検査(健康診断などで行う聴力検査)やティンパノメトリ(中耳の機能を調べる検査)を行っています。
ここでは、125Hz~8000Hzと細かい周波数設定で詳しくきこえを調べることができます。

聴力がちょっと心配だな…と思う人は是非オープンキャンパスできこえを測定してみてください。

実施場所:実験実習棟4階聴力検査室(G408)

2008年8月 6日 (水)

脳卒中 stroke

「脳卒中」ということばを聞いたことはありませんか?
「脳卒中」は脳出血(脳の血管が破れる)や脳梗塞(脳の血管がつまる)でおきる発作の総称として使われてきたことばで、「脳血管障害」の分類のひとつです。

脳血管障害は、言語聴覚士が関わる失語症にとても深く関係しています。

失語症はことばをつかさどる脳の細胞が死んでしまうために起こる障害です。
手や足を少し切ってしまっても少し出血が起こるくらいですぐに治りますが、脳では少しの出血や傷でも生死に関わる問題になることがあります。
それぐらい脳はデリケートな臓器なのです。

人間の全身血液流量は体重の8%とされており、体重50キロだと約3.7リットルになります。3.7リットルのうち、脳には15~20%もの血液が使われているそうです。脳の重さは約1350グラムですので、50キロの体重だと占める割合はたったの3%になります。

こんな小さなところに大量の血液が必要なのは考えてみればすごいことですね。

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写真<<脳の血管(動脈)

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