【研究紹介】子どもたちが体を動かす楽しさを感じられるように!
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健康スポーツ学科の多くの先生方が教職支援を行っております。
本日は体育科教育学を専門にしている針谷美智子先生の研究をご紹介いたします。
学校の体育授業で「鉄棒運動」の学習をしたことがありますか?
「鉄棒運動」と聞くと「怖かった」「痛かった」などという思い出を持っている人もいるでしょう。
実は,学校現場の先生たちのなかにも鉄棒運動に苦手意識を持っている先生は,とても多いです。
このため,先生たちは,授業のなかで十分な内容を教えることができず,子どもたちは,なかなか楽しさを味わうことができないという,負の連鎖が起きていることがあります。
こうした問題に対して,どんな授業をしたらいいのか,どのぐらい時間(期間)をかけて教えてあげたらいいのか…私はこうしたことに関心を持って研究をしています。
新しい動きを覚えるときには,基礎的なことから徐々に発展させていくというような段階的指導が大切です。
しかし,鉄棒運動で最初に何から教えたらよいのかは,あまりわかっていません。
そこで,子供たちが休み時間に遊んでいる動きを,授業に取り入れてはどうかと考えて研究を行うことにしました。
例えば,子どもたちのなかで「ぶたのまるやき」と呼ばれている動きがあります。これは,手と足を使って鉄棒にぶら下がる運動です。
それ以外にも「こうもり」と呼ばれている動きもあります。これは鉄棒に膝をかけて,足だけでぶら下がる運動です。
こうした動きを繰り返し練習して,どのぐらいの期間,練習をしたら上達するのかを調べました。
91人の子どもたちを対象に3年間縦断的に授業を行った成果を少し紹介したいと思います。
一年目・・・
1回目の授業で調査した結果,「ぶたのまるやき」ができる子どもは,80.2%,「こうもり」ができる子は,34.1%でした。
6回の授業を通して,「ぶたのまるやき」ができるようになった子どもは,92.3%でした。
「こうもり」は,72.5%の子どもができるようになりました。
二年目・・・
「ぶたのまるやき」は,94.5%の子どもができるようになりました。
「こうもり」は,81.3%の子どもができるようになりました。
そして,三年目・・・
1回目の授業で調査をした結果,「ぶたのまるやき」は,97.8%の子どもができるようになっていました。
「こうもり」は,83.5%の子どもができるようになっていました。
少しずつですが,できるようになっている子どもの数が増えていることがわかると思います。
このように数回の練習ですぐにできるようになる子どももいますが,何度も何度も練習していくことでできるようになる子どももいるということがわかりました。
授業をしていて驚いたことが1つありました。
休み時間になると子どもたちが鉄棒のまわりに集まって一生懸命練習している様子がみられたことです。
鉄棒は,授業で取り上げると子どもたちのなかでフィーバーが起きる種目であるといわれています。
きっと普段行わないような,逆さになったりたくさん回転したりという動きは,子どもたちにとって楽しい動きなのではないかと感じています。
学校には,いろいろな子どもたちがいて,体を動かすことが得意な子も苦手な子もみんな一緒に学習をします。
体を動かすことがあまり得意ではない子どもたちも楽しさを感じられるように・・・これからも研究を続けていこうと考えています。
学校の体育授業では、生徒のレベル差があるため一つの方法だけで全員を上達させることは困難です。
鉄棒の学習に「遊び」という方法を取り入れた針谷先生のアイデアは有効だったわけです、すごい発想ですね!
ちなみに針谷先生は、これら一連の研究で博士号の学位を取得されました。
健康スポーツ学科には他にも面白い先生がたくさんおり、いろんな先生と接することで学生の皆さんも様々な考え方を学ぶことができます。