46th Congress of the International Neurootological & Equilibriometric Society(NES 2019)in 東京
こんにちは。
STkouhouです。
今年度から当学科に着任された富澤晃文先生は、聴覚障害、オーディオロジー(聴覚学、聴覚補償学)をご専門とし、
子どもの聴力検査や補聴器フィッティング、人工内耳の豊富な臨床経験をもとに、幅広い研究を行われています。
その富澤先生が先日、都内の神保町(学士会館)で開催された国際学会 46th Congress of the International Neurootological & Equilibriometric Society(NES 2019)で演題発表をされました!
以下、富澤先生からいただいたコメントです。
今回は、機能性難聴に対するTIN(tone-in-noise)テストという新しい検査法についてのポスター発表を行いました。
耳鼻科のST臨床では「聞こえている」はずなのに、ヘッドホンをつけて聴力検査を行うと「聞こえていない」結果が出てしまう、子ども・成人に出会うことが時折あります。
この症状は機能性難聴(心因性難聴、詐聴)とよばれますが、奇妙なことに、聴力検査の結果よりも小さいレベルの雑音が聞こえてしまう(=ロンバール効果が生じる)ことが知られています。
どうしてこのような現象が生じてしまうのか、その心理学的な知覚病態についてTINテストの結果から検討しました。
TINテストは、マスキングを利用します。
聴力検査の授業で習うマスキングはヘッドホンから反対の耳に雑音を聞かせますが(=対側マスキング)、TINテストでは同じ耳に検査音と雑音を一緒に聞かせます(=同側マスキング)。
心因性難聴では、聞こえないはずのレベルの雑音に反応して、検査音に対する応答値が変わります。
ありえないはずの不可解な現象ですが、これを注意機能とマスキングに伴うラウドネス・シフトの知覚原理を組み合わせて、説明しました。
本学会は、神経耳科学とめまいを主題に1974年に設立された国際学会です。
今回東京で開催されたプログラムは、睡眠と内耳、宇宙医療、乳幼児難聴、内耳奇形と平衡機能、突発性難聴への鼓室内ステロイド注入、マウスの内耳生理、耳鳴への新しい音響療法(MTM)、眼球運動の中枢制御、機能性めまい、遺伝性難聴と平衡障害など、新しいトピックが盛りだくさんでした。
懇親会は、眼下に皇居を臨むホテルが会場でした。ベルリンの人工内耳センターの先生方と親しくお話しをさせていただきました。
ドイツでは片耳の難聴にも人工内耳が試されているそうで、驚きました。
富澤先生、ご報告を寄稿していただき誠にありがとうございました!!
国際学会と言うと、外国で開催されるのかな?と思われる方もあるかもしれませんが、
今回のように日本国内で開催されることもあります。
国内開催だと旅費や宿泊費の面で負担が少なく、参加しやすいですね。
下記の写真は会場近くの東京駅丸の内口です。
難聴や補聴器といった、『きこえの領域』は、
言語聴覚士の行う主要な業務の一つです。
この領域に関心のある方はぜひ、本学への進学をご検討ください!!!
👇ここをクリック