こんな料理のはなし
皆さんこんにちは。
健康栄養学科所属、(共通教育)生理学担当の八坂です。
私は栄養士等の資格は持っておりませんが、食べることは大好きです。
今回のブログでは、ある料理の思い出について書いてみたいと思います。
その料理とは、鶏もも肉をフライパンで焼いたものです。鶏もも肉のソテーとかチキンステーキとか呼ばれるでしょうか。
この料理は、昔母がよく作ってくれた、言わば「おふくろの味」ですね。母の料理の中でも1位2位を争う好きなメニューでした。よくリクエストして作ってもらっていたような記憶があります。
そんな母ですが、私が二十歳くらいの時に、脳梗塞で倒れ一命はとりとめたものの、入院中に感染症になってしまい最後は敗血症で亡くなりました。突然こんな話を書いて驚かせてしまったかもしれません。ごめんなさい。この話が続くストーリーの背景になっています。
さて、私は鳥取大学(医学部生命科学科)に入り一人暮らしを始めました。その時もやはりこの料理は作りました。色々なレシピがあると思いますが、我が家の味付けはシンプルに塩コショウだけ。皮はこんがりパリパリにするのが好きです。そのために油を少し多めに入れます。
大学の友人ともそんな話をしていると、ある友人から、「そんな料理食べてたら、そりゃあお母さん血管詰って死ぬよね」みたいなことを、その料理を嫌悪するかのように言われ、愕然としました。
それが医学的に正しいと言われれば、返す言葉もありません。言うまでもなく非常に悔しい思いをしました。ですが、それがきっかけで、その後私はこの料理を食べなくなりました。
時は過ぎて私は社会人となり、働くようになりました。どんな仕事でもそうだと思いますが、働いていると様々なストレスがあるものです。ある時私はたくさんのストレスを抱え、とてもネガティブな気持ちになっていました。
そんな時、ふと「あ、あの料理久しぶりに食べてみようかな?」と思い、早速作って食べました。
「うん、うん、やっぱり美味しいなぁ」と思いながら食べていましたが、食べているうちに気持の中で何かが・・・何かしているような・・・。何と言ったらいいのか、お腹の奥底からだんだんじわじわ勇気というか、そういう気持ちが湧いてくるように感じました。
それは、上手く表現できないのですが、言葉にすれば「自分の存在を肯定してくれるエネルギー」みたいなものでした。ネガティブな気持ちになっていた私でしたが、とにかくどんな自分であっても、それを肯定してくれるようなエネルギーが身体の中心から湧いてきて、勇気づけてくれてる感じ。
「ああ、すごいなぁ~、『おふくろの味』って、ただ単に舌に馴染んだ味っていうんじゃないんだなぁ~、『自分の存在を肯定してくれる味』、『勇気を与えてくれる味』なんだなぁ~、すごいなぁ~、すごいなぁ~」
この料理は、そんな体験をさせてくれました。
お母さん、ありがとう!
花束を君に...
I’d like to dedicate this to my mom in heaven.
追伸
思い出の料理を私なりにアレンジしてみました。
よろしければご覧ください。
(可能でしたら宇多田ヒカルさんの「花束を君に」とご一緒に)