4年生は言語聴覚士国家試験を終えると、学生生活最後のイベントとして卒業研究発表会を行います。
卒研ゼミでは言語聴覚士の様々な分野から興味があるテーマを選び、1年半もの時間をかけて卒業研究(必修科目)を作成し、発表します。
今年度は2月26日、27日に発表会を行いました。
発表7分、質疑応答3分という形式でパワーポイントも使用し、本格的な学会発表さながらです。
ちなみに平成20年度の卒業研究テーマの一部をみると…
【アルツハイマー病 (Alzheimer's Disease) における構成障害の検討
‐図形模写課題と他の認知機能課題との比較検討‐】
【特別支援教育への言語聴覚士の関与について
~現状と今後の可能性 小学校教員へのアンケート調査を通して~】
【味覚・視覚・嗅覚情報が摂食・嚥下機能に及ぼす影響】
【右半球損傷後の2症例が呈した失文法に関する一検討】
【自動詞と他動詞における心像性の差異の検討
~動詞の種類により心像性が語彙処理に影響を及ぼす可能性~】
…と、ゼミによってさまざまな研究がなされていることがわかります。
発表会は3年生も出席します。
これからの研究の進め方や発表の仕方など、先輩の姿から学ぶ場でもあります。
音響学は物理分野のひとつでもあり、皆さんも中学校時代に理科で『音とは何か』を習ったと思います
「言語」というと国語などの文系科目のイメージが強いと思うのですが、では何故、言語聴覚士になるために理系科目も(それも、ちょっぴり難しそうな)物理の「音響学」が必要となるのでしょうか?
コミュニケーションを行うときに効率の良い手段として使用されるのが「話し言葉」すなわち『音』声なのです。
話し言葉によるコミュニケーション過程の中で、『ことば』という情報が人間の脳まで到達する過程は・・・
①音響学的レベルの音波
(空気が振動して音の波がやってくる)
↓
②生理学的レベルの神経伝達
(耳から入った音の情報が神経によって脳へ伝わる)
↓
③言語学的レベルの情報分析
(脳がその音の組み合わせなどから言葉として認識し理解する)
となります。
つまり、話し言葉のリハビリテーションに関与する言語聴覚士にとって、コミュニケーションの過程のひとつとなる①音響学的レベルの勉強をすることは必要不可欠となるのです。
「音響学」では
音とは何か?ということから、人間の声とは?話し言葉を機械で分析すると?など、実際に分析機器を使用しながら講義をすすめていきます。
他にもこのような声道模型で発声の仕組みを示すデモンストレーションなども行います。
手前の黒い電動式人工喉頭を使って右の筒から「あ」「い」「う」「え」「お」の音を出すことができます。
「私は文系だから難しそうだな…」と思われる学生さんもいるかも知れませんが、自分の声を画像にするなど、目に見えるかたちの実践的講義なので面白いですよ
オープンキャンパスでも授業で用いる音響分析が体験できますので、一度大学に来てみて下さいね
産まれてから老いて死ぬまでの間に、人間の体(身体的側面)や心(精神的側面)は様々に変化し続けていきます。
人間は一人一人、育ってきた環境が違うため持っている能力に個人差を生じます。
しかし、個人差はあっても、発達といった変化の過程には共通した傾向がみられます。
発達は『できること』が階段状に連なっており、例えば「歩く」に至るまで、
1.一人で座ることができる
2.ハイハイができる
3.つたい歩きができる
4.一人で歩くことができる
といった過程を経ます。
一人で座ることができないのに、急に一人で歩けることはありません。
また、発達はある年齢になると年齢相応の能力を獲得することができます。
例えば歩けるまでには……
1.一人で座ることができる 7ヵ月時
2.ハイハイができる 10ヵ月時
3.つたい歩きができる 12ヵ月時
4.一人で歩くことができる 15ヵ月時
このように、発達のスピードや方向性にはある程度の法則がみられ、一般的傾向から大きくずれが生じた場合には、言語聴覚士が援助する対象となることもあります。
臨床の場面では、「一般的な傾向とどのように異なるのか」、「どのような方法なら発達に沿った援助ができるのか」が必要になります。
そのためこの講義では、発達心理学の基礎的な内容を生涯発達の枠組みで把握していきます。
以前にも紹介しました臨床実習Ⅱの報告会が12月18日に行われました。
トップバッターで報告だった3年生入倉奈央子さんから感想をもらいました
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今回の事後セミナーは2年生も参加ということで、なんだかとても緊張しました(^^;)発表が無事終わり先生方からたくさんの質問・御意見をいただき、言語聴覚士を目指すにあたってどんな点に注意しなければいけないかなど新たな視点から考えることができました。
指摘された点を直し、よりよい報告書に仕上げたいと思います(^o^)
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事前に自宅でたくさん練習したそうで、本番では落ち着いて報告できていましたよ
報告会は数回に別けて行われます。
いつもは3年生の参加のみですが、今回は2年生も加わったため大勢の前で報告しなければいけない…と学生たちは大分緊張していたようです
参加した2年生も、来年自分たちが実習でどのようなことをするのか、そのためにはこれからどのような準備が必要なのかを知ることができたかと思います。
基礎ゼミⅡは、全科共通科目として行われる必修の講義です。
この科目はQOLサポーター育成の一環として、将来目標の異なる他学科の学生と交流すること、また課題・テーマを設定し、学生が協力して調査をしたり、資料を調べたりして発表することを目標としています。
それぞれのゼミは、教員1名と学生6~7名で、言語聴覚学科以外の学生と一緒に勉強します。
ゼミの数は全部でなんと95!!
ということで、今日は大学全体での発表会に選出する予選会の会場の1つにお邪魔しました。
この会場では作業療法学科から7つ、言語聴覚学科からは4つ、計11のゼミが発表し、その中の1つが全体発表会に出場する代表に選ばれます。
それぞれのゼミは、興味のあるテーマを学生自身で決めて、自分たちで調べ、自分たちなりの考え方を発表します。
テーマ『明晰夢』
「自分が夢を見ていると自覚をしながら夢を見る」という現象を生理学的観点から調べたテーマから…
テーマ『無添加プリン』
中にはこんな美味しそうなテーマも
パワーポイントを使った発表では、グラフを使用して目で見てわかりやすいものや、アニメーションを駆使して注目させるテクニックなど、いろいろな工夫もされていました。
皆さんはクラシック音楽を聴いたりしますか?
クラシック音楽に興味のない方でもモーツァルトやベートーベンの曲は聴いたことがあるのではないでしょうか。
その曲を聴いたとき、美しいメロディだと感じることがあります。
しかし、基本的に音楽で使用される音は「ドレミファソラシド」であり、それに『♯』や『♭』が付く12の音階しかありません。
そのような限られた音から無数の曲が作られています。
「ファ」「シ♭」「レ♯」など1つの「音」そのものには美しいも汚いも、元気が出る出ないの情報もありません。
それなのに、それらの「音」を連続させた「曲」を聴いた人は、不思議なことに喜び悲しみ
怒り
興奮
などの感情が湧き出てくるのです。
聴覚心理学の講義では、このような音を聞いてどのような感覚が生じるのかについても学んでいきます。
音そのものは単純であっても、音によって私たち人間は複雑な感覚を生じているのです。
人間って面白い生き物ですね。
みなさんはお話をするときに「か」の音をどのように出しているのか意識したことはありますか?
「か」を言うときは舌の奥が持ち上がり、口腔内の天井(口蓋)にくっつくのがわかります。
『がらがらうがい』のマネをするときにも「か」に近い音が出ます。
このように、普段わたしたちは意識せずに舌や唇などを駆使して音を出し、それを話し言葉として活用しています。
音声学の講義では、日本語で使う「音」を中心として
どのように音が作られるのか?
どのような時にその音を使うのか?
などを勉強していきます。
普段なにげなく話していることばですが、1秒間に5~6つもの音を話すことができるそうです。
「おはようございます」を何秒で言えるかストップウオッチで計ってみるのも面白いかもしれませんね。
この授業では、失語症の原因、タイプ、評価法など、失語症のリハビリテーションに必要な基本的なことを学びます。
失語症は多くの言語聴覚士が関わる障害です。
「言いたいことが言えない」
「きこえているのに、ことばの内容がわからない」
「文字の読み方を誤ってしまう」
「文字を誤って書いてしまう」
など、症状にはいろいろなものがあります。 失語について
この講義では、患者さんの症状の背景にある障害メカニズムを分析する方法を身につけ、臨床現場で実際に対応できるようになることを目標としています。
講義の他に、実際に臨床で使用する検査の演習も行います。
写真は5人の小グループにわかれて標準失語症検査を行っている場面です。
いろいろな症状をもつ患者さんを想定し検査を進めていきます。
大切なのは検査の項目が何を評価しているのかを理解すること、そして結果が何を意味しているのかを考えることです。